2016年夏、リオ五輪をテレビで見ていた。
柔道の試合に「ジョージア」という聞きなれない国の選手が出てきた。出場選手の名前の横の国旗を見ると、白地に赤い十字の模様、その余白にまた赤い4つの十字架みたいなものがついててなかなかかわいい国旗。
(ウィキペディアコモンズより)
「これは『グルジア』の国旗だ」と思った。
なのに、テレビの解説員は「ジョージアの〇〇選手が!」「おっと……!ジョージア……」としか言わない。
グルジアについて知っていること。
確か前のオリンピックの時、武力衝突か何かが起こった。混乱状態の中オリンピックに参加した選手が居てエールを送られていた映像を見た覚えがある(調べたら、武力衝突があったのは2008年の北京オリンピックの時だった)。
コーカサス地方はグルジア付近にある。コーカサスオオカブトは別にコーカサス地方に生息しているわけではない。
かつてネットで大人気だった「いいえケフィアです」の「ケフィア」というヨーグルトっぽい実は違う食べ物はコーカサス地方あたりの食べ物らしい。
グルジアの文字。わっかのような特殊な形をしていてかわいい。საქართველო。こういう文字。よくiPhoneの特殊顔文字に文字が使われている。
グルジアについて知っていることはこれくらいである。
なのでいつの間に「ジョージア」と呼ぶようになったのか知る由もなかったというのが、正直なところだった。
何故なのか。そしていつからそう変わったのか。調べた。
記事によると、
旧グルジアについては国連加盟国の大多数がもともと英語由来の「ジョージア」と呼んでおり、ロシア語由来の「グルジア」としていたのは日本や韓国、中国、それに旧ソ連の国々ぐらいだった。2008年にロシアと武力衝突した旧グルジア政府は、翌年からロシア語に由来する呼称を変更するよう各国に要請していたが、これまで日本政府は応じていなかった。
とのことだ。
グルジア、もといジョージアは現地の言葉での正式名称はსაქართველო(サカルトベロ)というらしい。日本が日本語では日本(にほん/にっぽん)と呼ぶが、英語ではジャパンと呼ばれるのと同じと考えてよいだろう。このような、
現地の言葉と現地語ではない言語で呼ばれる国の呼称を「エクソニム(exonym)」という。
らしい。
「エクソニム」という言葉は初耳だった。考えてみれば子どものころから何故、日本のことを英語ではジャパンというのか疑問に思ったことはあった。他国の現地語での正式名称を知る機会が案外無いので調べてみるのも面白いかもしれない。
「エクソニム」の話はさておき、何故「グルジア」から「ジョージア」 という呼称に変更したのかに戻す。
詳細はリンクの記事を読めばわかるのだが、要は、2008年にロシアとの武力衝突があったので、ロシア語での呼び名の「グルジア」は使わないでというお願いがあり、そしてやめることになったということだ。衝突だけが原因ではないが確かに、揉めた相手を思い出すような呼び方をされては堪らないなと思う。
衝突のあった2008年の翌年から呼称変更の要請があって、2015年に日本の法改正で呼称を変更していたから、普段スポーツ番組を見ない私は、2016年夏のオリンピックで突然「ジョージア」の呼び名を知ることになったというわけだった。
というわけで、今後は「グルジア」とは呼ばず「ジョージア」と呼びましょう。